かきあげ丼

今日、昼のまかないは中華どんぶりでした。豚肉、白菜、もやしを炒めラーメンスープをかたくりでとろみを付けて、最後にしょうがをおろして、ごま油をたらして出来上がりです。けっこう簡単に出来、お昼の定番メニューです。
そこで、ママさんが「また、かきあげ丼も食べたいな!」と。「かきあげ丼か〜」
かきあげ丼で思い出したのは、オープンした時から、ずーと来られていた、おばあさんのことでした。その、おばあさんは、元教員で、若い時に、ご主人を事故で失い、一人で息子さんを育て、退職されてからは、家庭教師をされ、今はゆったりと暮らされていました。
そのおばあさん、いつも、手押しの買い物車を店の前に止めて、来店されます。
そして、開口一番「今日は、何食べよかな?」と、嬉しそうにメニューを探され、食事をしながら読書をされています。またご主人のお話、息子さんのお話、一杯お話されます。
そして、ある時、メニューを探されていたのですが、なかなか決まりません。
そこで、ママさんをよんで「今日は、丼が食べたいな!出来るかしら?」と
ちょうど、お客様も少ない時でしたので、「かきあげ丼 食べますか?」と言うと。
嬉しそうに「お願いします」とおっしゃいました。これも、まかないで作っていたもの、
たまねぎ、えび、じゃこを混ぜてかきあげ丼にし、お持ちすると「わー、美味しそ!」と
嬉しそうに食べられました。それからしばらくは、忙しいときであろうが、かきあげ丼のオンパレードでした。その時期が過ぎると「今日は、てんぷらが食べたいな!」そこで、てんぷらの盛り合わせ、「今日は、あっさりした物が、食べたいな!」と、そこで、雑炊
「今日は、おもち食べたいな!」おもちの磯辺焼き、・・・・・
時には、電話で「今日は、調子悪いの、親子丼の出前おねがいします」と、高齢の一人暮らし、わがまま聞きましょ。親子丼の出前も行きました。
その、おばあさん、昨年の10月くらいから、来られなくなり、心配して、ご近所のお客様に聞くと、亡くなられたとのことでした。
けっこう、わがままおばあさんでしたが、もう来られないと思うと、とても悲しくなりました。お店をオープンして、月日はあまり経ちませんが、楽しい出会いはたくさんあります。が、悲しい別れもありました。